
麻生太郎:原発「死亡事故ゼロ」発言に波紋

2023年1月、麻生太郎自民党副総裁は、福岡県内の講演で原子力発電について発言した。
報道によると、麻生氏は原発を「安く、安全で安心な供給源」と位置づけたうえで、 「原発は危ないと言うが、死亡事故が起きた例はゼロだ」という趣旨の発言をした。 この発言に対して、政府側からも補足や修正に近い説明が出た。 松野博一官房長官は、直接放射線障害で亡くなった事例はないとの認識を示しつつ、 原発敷地内で労働災害などによる死亡事故は発生していると説明したと報じられている。
この件で問題になったのは、「死亡事故ゼロ」という言い方が広すぎたことである。
原発について語る場合、「放射線による死亡事故」と「原発敷地内で起きた労働災害による死亡事故」は区別して考える必要がある。 しかし、一般の人が「原発で死亡事故ゼロ」と聞けば、原発に関係する死亡事故がまったくなかった、という意味に受け取る可能性がある。 実際には、関西電力美浜原発3号機で2004年に配管破裂による蒸気噴出事故が起き、作業員が亡くなった事故も報じられている。 学生向けに例えると、「テストでミスはゼロだった」と言ったあとで、「計算ミスはゼロだけど、漢字ミスはあった」というような話である。 言い方が広すぎると、聞く側に誤解を与える。
松野官房長官は記者会見で、原発敷地内で労働災害などによる死亡事故は発生していると指摘したと報じられた。
その後、麻生氏側は、直接の放射線障害による死亡事故はないという趣旨だったとの説明も報じられている。
この件は、原発という安全性が強く問われるテーマについて、政治家の発言がどれだけ正確であるべきかを示している。
ポイントは次の3つ。
- ✓麻生氏が原発について「死亡事故ゼロ」趣旨の発言をした
- ✓官房長官は、労働災害などによる死亡事故は発生していると説明した
- ✓原発の安全性をめぐる説明では、言葉の範囲を正確にする必要がある NEG-ARCHIVEでは、「虚偽」カテゴリの記事として、事実関係の正確性が問題になった発言として記録する。

